Tauchi Sakura*Art

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン出身。絵画・イラストレーションに関するブログ。前頭葉に幸あれ。

我が魂の永遠から取り残される

「我が魂の永遠」の最終日、国立新美術館まで。
撮影できる大きなスペースに立ち並ぶあざやかな近年の作品。まず眺め歩きながらそこにはどうも入り込めなかった。自分とはあまりに嗜好する色や志向するスケールが違うせいだろうか。それだけでもない気がするが…言葉にするとそんなことをぼんやり思いながら、次のスペースへ。
まだ若い頃の絵画作品、この暗さと生真面目さはなんだかとてもしっくり来た。そこから渡米したての頃の白いドットのキャンバス。60年代のハプニング映像と続くけれど、無限の鏡の間で順列を無視してしばし立ち止まりたくなった。
暗い空間に広がっていく無数の色あざやかな光の点。
おそらく私は草間彌生のごく若い時の排他的な暗い油彩が感情移入できて好きなんだろうけど、ドットになり外界へ向けて作品が開けてからのインスタレーションまでは感情移入とは違いただただ「はあ、すごいなあ」という、よくできた装置だ。作品自体の境界や鑑賞者との境界がなくなっていって体ごと没入するのが楽しいと思うので、無限の鏡の間で音楽流してお酒かなんかを飲みながら大量の光の点を眺めてずーっとボケーッとしたい。

おそらく相当肉体的な体験への期待が大きかったせいがあるだろうけど、「作品展示」という形になると展示されているよそよそしさを感じずにはいられない。短時間での美術館鑑賞という受け取り方に限界があるんじゃないかなあと思ったのだった。
しかしドットの光にラリッて没入した後現実に戻るのはつらいだろうね。私たちは戻らなければいけないけど彌生さんはずっと「向こう側」に居るんだから羨ましくてちょっとずるいなあ、と思うのよ。