Tauchi Sakura*Art

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン出身。2006年より独自にペン画を描きはじめる。絵画・イラストレーションに関するブログ。前頭葉に幸あれ。

苦しいことは昇華すべきとは思って描いても描いてもなかなか現実世界では悟れませんけど。

許すとか許さないとかじゃないと思います。
私は簡単に言語化しない。

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(「感情の錬金術·輝」 2014)

細密展

自分の絵として、ただ単に細密であったりただ単に緻密であったりするものに意味はないと思っている。そこをこえるものがある何かを描けるかどうか。手が重い瞬間が続いたのであまり日がない会期までできることをやるしかないけど。できるだけ余計な力を抜いて、どんなカテゴリーからもこぼれ落ちるような風景を描きたい。運が良かったらどっかで飛べるかもしれない。

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もう一つ、何回か行ったことのある新宿2丁目のお店の閉店を知った。店主さんのご病気についても色々とネットに書かれていた。
脳機能障害、その一言から気になって色々調べていた。脳系の病気の怖さを改めて考えた。

私は不眠から始まって前後不覚になり、ピークの瞬間には自分の生歴も混乱する発作を二回発症した。倒れて搬送された先の病院ではカルテに急性一過性精神障害と書かれ、(判断能力ないと思われただろうから直接はカテゴリーを伝えられず、カルテをさっと見て確認)元々の原因は強迫性障害だと暫定的に診断された。(ただこれについては調べた結果日常生活一般で不安発作や確認行為があるわけではないので、あまり信用していないけど。)

祖母は最期に重度の認知症を患っている。その人が一時的にせよ断続的にせよ失ってしまう「正気」、意図せずに自分が自分でなくなる感覚、これは人間として一番怖いことかもしれない。特に元々聡明でしっかりしていた人にその症状が出てしまうショックは並大抵ではない。だし、治っても治らなくても鬱々と内省に陥っちゃって倍辛いんじゃないかなあ。もちろん、こんなことは日常はあまり考えたくないものではある。

その人の輪郭を伝えるものは何か?言葉を残す、何か作ったものを残すことしかない。

自分の場合は10日間入院のあと一年通院し、症状は出なくなったが、病気の辛さを感じる知人がいたとしたら他人事ではないだろう。急性時の恐怖が大きすぎて訴えようとしても冷静には伝えられなかったし、聞いてくれる人もほぼいなかった。しかし、だからといって、過去、真っ暗いダイニングでひとりぽつんと座っていた祖母が「私、だんだんおかしくなりよんかしら」と漏らした一言を、受け止められただろうか。(レッチリのライブに行って帰ってきた後で浮かれていたので、あまりのシチュエーションの落差に言葉をろくに返せなかったはずだ。)

後々、入院の時のことをポツポツ話したら「んなもん大丈夫だよ、皆あるよ」と雑にまとめて笑った人がいた。でも、その時に限っては私は彼の雑さに感謝した。理解はされなくても人に話せて悪くはなかったとも思った。元気でやっていってほしい。
これから時々言葉を書こうと思う。

7月展示。それからほんやら洞のこと

大学の頃のゼミの課題。自由にイラストレーションを配した絵本を作る、というもので、デザイン科に居ながら絵を描けることに喜んだ私は、初めてボールペンを使って白黒の絵を描きはじめた。
テーマは都会の人間と自然物の生命力の対比。その1ページにその頃通いはじめた国分寺ほんやら洞の風景と、店主の中山ラビさんを登場させた。
一応のコンセプトがあったものの、テーマがどうこうでなくただ単に描きたい気持ちが勝っていたと思う。
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ついこのあいだ、お店にしばらく休みます、と貼り紙があったのを見た。その翌日、ラビさんが亡くなったことを知らされた。この絵を思い出し、汚れを消してみた。絵のよしあしより、やっぱりこれを描きたくなるような風景と人がそこにあったことを忘れないでいようと思った。


今月に仕上げる予定を立てた新作が進まないところに訃報もあり、さらに複雑な気持ちになってしまった。そんな7月が来てしまった。当たり前だけど時間は停止しないなあと思っている。停止しない時間の中を生きてくしかないんだなあと。

今月の展示は28日からギャラリー·アートコンプレックスセンターで行われる大細密展に参加します。
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神保町

大学4年。一人で神保町によくいた。ディスクユニオンとジャニスでCDを手にいれ、三省堂と書線グランデと古本屋を周り、数百円の本を買う。穂高、ミロ、古瀬戸に座り本と持ってきたイラストボードを同時に眺め、煙草を吸って絵を描く。アパートでは絵を描けず、まず出ていってそういうところに座らなければ絵を描けないぐらい寂しかったのだと思う。よって私は卒制の絵30枚の構想を全部神保町の喫茶店でやっていた。明大の学生が楽しそうに喋っているのが耳に入ってくる。
穂高では窓から線路と川を眺めていた。人によっては何か考えているように見えたに違いないが、何を考えていたのかは全く思い出せない。とにかく何も考えずとも川はいつもとても美しかった。あの頃買った本は大体売ったし、ラテン語の辞書も大して役に立たなかった。そのうち真っ暗になってきて、駅前のプラザでドラッグコスメを見て、マスカラとアイシャドウを塗り直し、精いっぱい背筋を伸ばして電車に乗る。背筋を伸ばすことにきっとあの頃気力の8割を使っていただろう。

あんまりにも濃縮された一人がただ在る。のちに彼氏や友達とたまに来ることはあっても、私にとって神保町は基本的にそういう街だった。

で、そんな神保町で、穂高や古瀬戸と並んで好きだったものの一つがすずらん通りの文房堂です。
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搬入してきました。
タイムリープを防げ。

Tシャツ発売開始と今月開催展示です

31日発売のアートブック「ENERGY2021」掲載作品の展示↓
5月24~ 神田神保町文房堂ギャラリー
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5月24~Tシャツweb販売
グラフィック↓
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販売サイト
https://t-od.jp/special/detail?pr_id=181

招待展示 5月18日~京都東山ギャラリーソラト「幻想医学展」↓
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「ごく内的な飛行」一点展示しています。
飛ぶ脳と金の雨。f:id:sakura1943:20210520163546j:plain
前回展示時よりも彩度を上げ、アクリル絵の具を重ねてグロススプレーで表面保護しています。容易には発色の損なわれない仕上がりになっています。お近くの方はぜひ近くに寄って光る視線と全体の表情をごらんになってみてください。

ギャラリーソラト

〒605-0021 京都府京都市東山区石泉院町394 戸川ビル 2F カオスの間内
090-9698-9460 https://g.co/kgs/fUHEgJ

5月予定展示、生きる花

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額装して仕舞われていた「百合」ですが、時間をみつけては再度手直しを始めました。蘇生させたい。百合は桜や梅ともまた違う優しさと凛とした姿が好き。こちらの参加展示は考え中です。花シリーズは「うめ」「さくら」「りんどう」「百合」と描きましたが、うち3枚は手元を離れたのでこの子が今最後の一枚です。

メタル紙を水張りして描きはじめた新作の方は難航しそう。忙しくしてたら4月になってしまった。肩の力ぬきながらいきます。

神田神保町文房堂ギャラリーカフェ「SELECTED ILLUSTRATION ENERGY2021」5月24日~
※アートブックに掲載された作品の原画展示販売となります。
☆京都東山ギャラリーソラト「幻想医学展」5月18日~23日
※招待出展となります。一点展示します。